一口馬主で投資・回収を考える
2022年、本年もよろしくお願いいたします。今年は出資スタートてから3世代目のデビュー年です。残念ながら初年度出資世代が古馬として残ることができませんでしたが、2,3歳世代にぜひ活躍してほしい1年ですし、出資金の回収も何とか進めていきたい1年です。
一口馬主は馬を応援し、楽しむだけでなく、投資という側面も持っていることから、どのように出資し、回収していくのか、その戦略も考えなければならなりません。4世代目の出資方針も含め、今日は考えていきたいと思います。
※本記事は私自身の計算やJRAの賞金シミュレーションをベースに計算しているため、総額ベースの部分と1口あたりの話が混在しています。あくまで私自身が一口馬主として収支をプラスにしていくための戦略を考えるための計算であるため、正確なものを目指していない部分もあることから、あくまで一参考としてご覧いただき、ご自身の出資計画においては再度計算しなおすことを推奨いたします。
出資金+維持費を回収するために
一口馬主DB様によると、シルクホースクラブの平均募集価格は3,300万円程。対してノルマンディーオーナーズクラブは1,400万程と、かなりの差があります。インゼルサラブレッドクラブは4,000万弱です。1頭平均を大きく上げる馬がいますので、それを除くと3,500万弱に落ち着きます。
サンデー・キャロット・シルクは平均金額上位3クラブであり、ノーザンファーム系はやはり高価です。それと比較するとノルマンディーオーナーズクラブが極めて安価だということがわかります。
ノーザンファームの牧場系クラブが高価なことは間違いないのですが、一方で牧場で生産しているため、クラブ全体で見たら高価であっても、本来はセリに出るともう少し高くなるものを、安価で会員は購入できている、ともとらえられます。それで言うと、コスパが良いのは間違いないでしょう。
一口馬主を実際にやっていると、維持費が費用として結構掛かることが実感できます。ノルマンディーは維持費も格安なので、400口であっても500口と同じくらいの金額で維持できており、おおむね費用としては1口あたり月額1,000円から1,600円に落ち着いています。未勝利を突破した場合、5歳まで走るケースが多いため、勝ち上がると維持費は以下の目安金額がかかると想定されます。
月額1,400円×12か月×4年(2歳から5歳で計算)すると、67,200円となります。
加えて募集価格の3%程度の金額を保険として支払いますので、その金額が追加となります。ざっくり計算して、5歳まで現役を続けた場合は維持費のみでおおよそ72,000円程度必要とみて良いでしょう。
維持費を仮に72,000円としたとき、賞金額だけで500口の場合3,600万円、400口の場合2,880万円稼いだ必要となります。結構ポイントとなるのは、馬代に関わらず1勝すればこの費用が発生するということです。募集総額5,000万円の馬でも、1,080万円の馬でも、そこからの維持費は共通なので、勝ち上がった場合は活躍し続けてもらわないと、投資回収がかなり難しいということです。
具体例①:ハーレクイーンの20(シルク・募集総額5000万円・500口)の場合
- 1口100,000円+維持費67,200円+保険代12,000円(10万×3%×4)=179,200円
具体例②:クトゥネシリカ(ノルマンディー・募集総額1080万円・400口)の場合
- 1口27,000円+維持費67,200円+保険代3,240円=97,400円
上記金額をベースに考える場合、ハーレクイーンの20の場合は9,000万円ほどの総費用、クトゥネシリカの場合は4,000万円ほどの総費用が必要となる見込みです。
対して、競走馬がレースに出走してもらえる金額は以下の通りです。
本賞金 | : | 1着から5着までがもらえるレースの賞金 |
出走奨励金 | : | 全競走の6着馬から9着馬がもらえる賞金(重賞や平地OPは10着まで) |
特別出走手当 | : | 出走するともらえる手当 |
特別出走奨励金 | : | G1,G2で11着以降の馬に支払われる奨励金 |
距離別出走奨励金 | : | 3(4)歳以上の芝1,800m以上の平地競走の1着馬から10着馬に支払われる奨励金 |
内国産馬奨励賞 | : | 平地の全競走において、1着から5着となった内国産馬に支払われる奨励金 |
内国産牝馬奨励賞 | : | 平地の新馬・未勝利競走において、1着から5着となった内国産牝馬に支払われる奨励金 |
それぞれゴール時のタイムや牡馬・牝馬かで受け取れるかどうかの条件はあるものの、これらを合算した金額が賞金として支払われます。賞金のすべてが馬主に支払われるわけではないため、最終的には支払われたお金の総額の約60%~70%ほどが支払われることになります。
これらを考えると、ハーレクイーンの20が引退時に+収支になるためには、約15,000万円ほどの獲得金が必要とる見込みです。15,000万円の獲得金は本賞金でいうと、12,000万円ほど必要でしょう。重賞勝ちはほぼ必須な金額ですね。重賞勝ちなく、この水準に達する馬もいますが、少なくともオープン競走で勝てるレベルで、かつ30戦できるタフさは求められる水準かと思います。
ハーレクイーンの20は重賞勝ちを期待して出資している馬であり、この賞金イメージとは合致します。それだけに順調に進んでほしいものです。
※高めに経費を見積もり、低めに賞金収入を計算しているため、実際はもう少し少ない賞金額で達成可能見込みです。
クトゥネシリカが引退時に+収支になるためには、6,700万円ほどの賞金が求められます。こちらも勝ち上がって長く活躍をしてほしい、という出資イメージとも合致しますね。このゾーン到達は20戦以上できるタフさと2,3勝できる能力が求められます。新馬・未勝利+1,2勝で、勝ち上がったクラスで好走を続けることで到達できます。ただ、そもそも2つ勝つのは難しいですし、健康にそのクラスで走り続けることが難しいので、簡単なことではありません。
シルクホースクラブの22年度出資方針
シルクホースクラブ
- 3年間実績100万円超で出資自由度が増すことから、22年度は抽選優先権を用いた5口~10口出資を目指す。
- 芝のマイル~中距離路線で活躍する王道路線の馬から出資馬を選ぶ
シルクは出走回数が平均4回を切るクラブであるため、数を使っての投資回収は難しいクラブです。クラブとしては、クラシック路線や古馬マイル~中距離で活躍する馬をメインに据えており、その路線で活躍しそうな馬を素直に選んで出資していくのが良いと考えられます。
シルクの王道路線成功馬は世代代表クラスの活躍を見せるケースもあり、1頭で複数頭の出資金回収を期待できるため、王道路線で通用しそうな馬を複数選び、手広く出資する方が回収確率は高まるのではないかと思います。一方、実績がないとその戦略をとることができないため、まず実績を積んでいく戦略が必要です。3年間で100万円の出資額があると出資ボーダーラインを超えられる馬が多数いるため、まずはそこを目指して優先抽選権利を用いた複数口出資を行っていきたいと思います。
複数口出資馬が走らないと打撃を受けることになるため、22年度・23年度は相馬眼がかなり求められる年になりそうです。
ノルマンディーオーナーズクラブの22年度出資方針
ノルマンディーオーナーズクラブ
- ダート路線もしくは芝短距離or長距離でノーザンファーム系とバッティングしにくい路線を狙う。
- 血統面・馬体面で健康さを念頭に置き、故障に強そうな馬を狙う
ノルマンディーは年間5走ほど平均して走らせてくれるクラブであり、健康な馬であれば結構な回数を引退までに使ってくれる印象があります。芝の王道路線では、デアリングタクトが出て活躍していますが、ノーザンファーム系クラブに勝てているかというと、苦しい戦いを強いられています。
一方、ダート路線や芝のニッチ路線では非ノーザンファーム産駒も重賞路線で勝負できており、その路線で活躍できる馬を選んでいけると良いのではないかと思います。また、健康に期待でき、出走回数が稼げる馬だと回収見込みが高まるのではないかと思います。
また、シルクで小頭数大口出資だと年間出走回数は減少傾向になるため、一口馬主としての生活を楽しむためには、たくさん走ってれそうな馬を選ぶとバランスがとれるのではないかと思っています。
インゼルサラブレッドクラブの22年度出資方針
インゼルサラブレッドクラブ
- インゼルならではの出資可能馬を狙っていく
- 1頭1口として当選運に任せて手広く出資し、1発勝負を狙う
まだ未知数なクラブであるとはいえ、インゼルは非ノーザンファームながらもリーディング上位の牧場や海外牧場の馬に出資できるのが魅力です。また、リーディング上位厩舎に預託予定であり、そのあたりも魅力的です。
募集総額もバイヤー系であることからやや高額で、回収には重賞勝利などが求められるのではないかと推測しています。厩舎や牧場的にはそれも期待できるので、インゼルでは大物狙いが良いのではないかと考えています。
また、出資は抽選式で、今のところ実績という考え方がないため、運の要素はあるものの手広く出資することが可能です。良さそうな馬に手広く出資し、大物に期待をするということがしやすいため、その方針で試すのが良さそうだと考えています。
まとめ これから一口馬主を考える人に
うまいこと文章がまとまりませんが、最後にまとめです。
- 維持出資金は勝ち上がると馬代に関わらず発生する&結構高額になる
- 400口でも500口とほぼ差がない維持費のノルマンディーはお得感がある
- 競馬界全体の状況からクラブと路線を見極めて出資方針を決める
私が一口馬主を始めたとき、これを念頭に置いていたら結構違ったな、と正直思っています。この記事がこれから一口馬主を始める方のお役に立てましたら幸いです。