【NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版 著:マーシャル・B・ローゼンバーグ  監修:安納 献 翻訳:小川 敏子】社会性フィルターを通しての共感パフォーマンスから一歩踏み込む話

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富士に至れ no.7

 ここ最近は寒暖差が激しくてびっくりしますね。周囲には花粉症でぐったりし始める人が出てきて、春の近づきを感じます。あんまりこの観点で春を実感したくはないけれど。私も花粉症持ちなので、週末は引きこもりがはかどります。
 ゴルフも趣味でやったりするのですが、この時期に行くと一発で花粉の許容レベルを超えてしまうので、我慢の季節です。

 直近の更新は以下の2本です。

NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法

 NVCとはNonviolent Communication、非暴力コミュニケーションのことです。著者のマーシャル・B・ローゼンバーグ氏が1970年代に体系化・提唱したコミュニケーション手法のことです。
 仕事をしていると様々な年代、キャリアを持つ人と接することになります。コロナ禍で在宅での仕事も増えたり、コミュニケーションの難しさは高まっている印象。私は「言ってはいけないことが増えた」というより、「言われたときのリアクションの幅が広がった」というように思っています。かつては我慢一択だったようなことも、今では様々な手法でやり返せるようになっています。

 なので、一度コミュニケーションについて勉強してみようと思い、読んでみたのがこの『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』でした。

 正直、読んでいて何度かいやな気分になり、本を読むのをやめようと思ったのですが、読み終えてみて、読んでよかったなと思っています。
 「誰とでも共感できる」「対話でわかりあえる」類のワークショップを会社で受けたことがありますが、その時の嫌悪感が私には残っていて、そのにおいみたいなものを感じたのが理由です。そのワークショップでは共感を示すことが大事、相手の言ったことに深くうなずき、相手の発言をおうむ返しのように返しつつ同意を示し、など、「共感を示すポーズ」をたくさん教えてもらいました。
 私は人と人は分かり合えないことがあるし、共感できないこともあると思っています。とはいえ、それは分かり合おうとして言葉を尽くしてからのことだとは思います。会社で受けたワークショップは、共感のポーズやテクニック的な話はかなり教えられましたが、それはある種、相手を理解することを放棄し、表層上で共感風を示して円滑にコミュニケーションを進める手法でした。それは確かに効率は良いし、表面上すごく良く見えると思いますが、理解できないことに対してそうしたリアクションをとることは、自分自身が結構削れることでもあります。
 加えていえば、共感できることが前提にあり、共感できることしか言わない範囲の中で発言を強いる空気感がありました。共感できないことを言うことがおかしい、という環境ですね。ワークショップ内で「共感されたくない相手に、浅はかな共感を示されたときに強い不快感を感じる。そんなときどうしたらよいか」と質問をしたとき、それに関しては共感を示してはもらえませんでした。
 これらは、コミュニケーションをテクニック的に実践する技術と、多数派の価値観を前提にした一般的感覚とのバランス感覚が求められることで、なんとも難儀であると感じました。また、これは常識外れを糾弾する思想が原点にあるようにも見え、そこには共感もへったくれもないように思え、こういうテクニック的に「共感」というワードを使用することへ強い嫌悪感を抱きました。
 こんなワークショップを受けたことがあったので、この本でも共感が話題に上がったときに「またかよ」という気持ちになり、読むのをやめようと思いました。

 この本を最後まで読めたのは、現実に即した哲学書のような側面を感じ取ったからです。テクニック的な話ももちろん丁寧に書かれていますし、技術として行うことは決して難しくないことだと思いました。一方で、実践をするためには、物事の見方・考え方を変えなければならず、結構タフな本です。
 実際、読んで心酔し、すべてを実践しよう、とまではなっていません。できる範囲で、かつ、よりよく話し合いをできるようになりたい、と思う箇所から取り入れていこうと思っています。

NVCの要諦

  1. 評価をまじえず、行動を「観察」する
  2. 観察したことに対して抱いている「感情」を突きとめる
  3. そうした感情を生み出している要因、「何を必要としているのか」を明らかにする
  4. それを具体的な行動として「要求」する
NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版より

 「~べきだ」という感覚でものを見ない、一般論を活用して自分の感情や求めていることを表現しない、ということなどがその要諦の詳細に書かれています。その辺りは少しずつ実践しています。自分の感情と、その感情になったのは自分が何を求めていたからかの特定は、表現をまっすぐ素直にすると思いました。

 建前は大事だし、取り繕うことで円滑に物事が進むこともたくさんあります。それが停滞になってしまうときや、双方の我慢の積み上げで成り立ってしまうとき、それを(言葉の、も含め)非暴力的に解決できることにこしたことはありません。この本を今読んだことで、自分自身の怒りとの向き合い方も少し見つけられたと思います。ご興味のある方はぜひお読みください。

まとめ

 「誤字があったんですけど」「私の意見はこうなんですけど」「こうしたほうがいいと思うんですけど」っていうコメントがときおり寄せられます。この本を読んで、そういうコメントへの対応方法も少し見えてきて、今知れてよかった、とすごく思いました。

 続刊も読んでみようと思います。

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この記事を書いた人

HN:シオノゴハン
趣味:競馬と雑学調べ
一口馬主:
シルクホースレーシング 2019年~
ノルマンディーオーナーズクラブ 2020年~
インゼルサラブレッドクラブ 2021年~
POG:不愉快な仲間たち

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