【正欲 著:朝井リョウ】

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富士に至れ no.9

 先日、NVCの本を読み、改めて共感するってどういうことであるかを考えさせられました。そんなこともあって、というのも変な表現ですが、朝井リョウさんの正欲を読みました。とてつもない本でした。

 直近の更新は以下の2本です。

正欲

 「正欲」は朝井リョウさんの著作です。稲垣吾郎さんと新垣結衣さん主演で映画化されることも発表されています。

著:朝井リョウ
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 朝井リョウさんのラジオが好きで、「高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと」は毎週楽しく聴いていました。「めっちゃわかる!」というエピソードがあったり、「そういう考えもあんのね」と思うエピソードもあったりしました。「わかる!」が多かったので、「異なる考え方」も受け入れられるというか、価値観の幅を広げることができていたような感覚になっていました。なんというか、好位的な共感域の拡大みたいな、そんな感覚でしょうか。

 ある時からこのラジオを私は聴けなくなってしまいました。スタッフの予防接種と健康のことの放送回からだったんじゃないかな、と思います。「低血糖な状態で獣のように食らうマックのメニューは何か」的な話で、スタッフさんが「エビフィレオ」と答えたことから始まった、獣マック論争。
 それを聴いて「なんだよ、そんな否定しなくたっていいじゃんかよ……」みたいな感覚になって、共感域がスッと閉じられたような気持になって、以降聴けなくなってしまいました。(でも先日のANN0で再度聴いてめちゃくちゃおもしろかった)

 この本を読んで、そして、このエピソードを思い出して、共感とは勝手にするしされるし、されたくもあり、されたくなくもあり、かくも身勝手なものだと感じました。
 多数派の共感や理解とか、理解できないゾーンへの疎外とか、肯定できる限度だとか(もしくは、否定しないでいられる下限だとか)そういう要素も描かれていると思いつつ、その反面の理解されない側の「わかるわけないだろ」みたいな優越感っていうんでしょうか。
 共感することも、されることも、したいと思うことも、されたくないと思うことも、ある種傲慢であるし、身勝手なことであるなと思います。で、その傲慢さや身勝手さというのは、多数派は常識みたいな感覚で守られ、少数派は孤立や孤独みたいなものに追いやられるのかもしれないな、とそんな風に思いました。

 わかってほしい相手にわかってもらえること。それは得難いことで、貴重なものだということ。そしてそれは永続的なものではないこと。永続的でないにしろ、その体験の積み重ねで人は安心を得られること、だから一般的になっていくこと、そんなことを考えさせられる本でした。

 本当に痛いところを突いてくるし、自分が言語化できていなかった感覚を言葉にしてくれるな、だからこそ恥ずかしいな、と思わされます。

 何かテクニック的なものを身に着けていって、それによる演出が少しできるようになったとき、人の心の痛いところを突き刺すような本で、それでいてすごく救いにもなるような本でした。

まとめ

 例のごとくうまくまとめられなかったのですが、本当にとてつもない作品でした。そしてめちゃくちゃくらいました。映画見ていられるか自信がないので、見るかはわかりません。でも、ぜひ読んでみてほしい本です。

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この記事を書いた人

HN:シオノゴハン
趣味:競馬と雑学調べ
一口馬主:
シルクホースレーシング 2019年~
ノルマンディーオーナーズクラブ 2020年~
インゼルサラブレッドクラブ 2021年~
POG:不愉快な仲間たち

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