ノルマンディーオーナーズクラブ 21年産募集馬分析
ノルマンディーオーナーズクラブの募集馬分析を実施します。他クラブ同様に、私自身がどの馬に出資するかどうか検討した結果の共有という形となります。ノルマンディーオーナーズクラブの募集馬分析の共有は1頭ごと詳細ではなく、大枠の方向性を何頭かまとめて記事にしていきます。文章量見つつ調整します。皆さんのご参考になりましたら幸いです。
本分析は募集馬の活躍を保証するのものではございません。出資などの最終のご判断はご自身にご決断ください。また、私の主観による分析ですので、読者の望まない表現が出てくる可能性もございますが、ご了承ください
ノルマンディーオーナーズクラブの魅力や、21年産募集に際しての私の方針は以下の記事にまとめています。ご興味のある方はぜひご参照ください。
※調教師リーディングのデータは2021年のもの。JRAより。
募集馬概要 イルジオーネの21
- イルジオーネの21
- 父:アルアイン
- 母:イルジオーネ
- 母父:ディープインパクト
- 母母父:ネオユニヴァース
- 牝系:3代母マンファスからはキングカメハメハ
- 性別:牡馬
- 生年月日:2021年1月28日
- 母5歳時の産駒
- 所属予定:美浦 中川公成厩舎
- 21年リーディング:88位(勝利数80位タイ)
- 主なジョッキー:菅原J・宮崎J
- 生産:岡田スタッド
- 募集総額:1,600万円
- 一口価格:40,000円
- 芝・ダート兼用タイプの1,800mあたりの馬になるのではないか
- スピードの持続力勝負タイプで、大箱直線末脚勝負は苦しみそう
母イルジオーネはノーザンファーム生産馬でキャロットに所属し芝・ダートで7戦して2勝をあげています。勝ったのはダート戦で、末脚を生かして中団~後方から差し切って勝利したタイプのようです。
3代母マンファスはキングカメハメハの母でG1馬を2頭輩出。その牝系は世界中で活躍しています。
預託予定の中川先生は21年リーディング80位タイの勝ち数。ノルマンディーの馬だとグランツリヒター(16年産)やフレイムジョーカー(19年産・40口)がいます。グランツリヒターは1勝をあげたものの、故障引退。フレイムジョーカーは未勝利で地方移籍をしましたが、9月デビューから10戦、東西・地方交流戦など様々な環境を使いつつ1勝を目指していた印象です。
アルアインはディープインパクト×A.P.Indy系、かつ両親母系にHyperionという馬で、スタートからスピードを維持し続けることが得意なタイプでした。先行押切で、逃げ馬が垂れる中、スピードを持続しながら粘り強い走りを見せました。大箱の直線で末脚勝負では分が悪いタイプでもありました。実際勝利したG1は皐月賞と大阪杯で、小回りの2000m戦でした。
イルジオーネの21は母の父ワークフォースがNureyev≒Sadler’s Wellsの4×2を持ち、母の母ネオイリュージョンも両親からHyperionの血を引いていますから、アルアインの持つHyperion的な粘っこさは継続強化されている印象です。Northern Dancerと欧州血脈の抜け道としてアルアインの母ドバイマジェスティが異系として光っており、それが良く生きてくるのではないかという印象があります。
これらの要素的に、母は末脚を生かしたタイプでしたが、イルジオーネの21は先行して押し切る競馬が向いてきそうです。大箱の直線で末脚勝負となると苦しそうで、タフなレース展開を好みそうです。
アルアインは芝で走った馬ですが、競馬の雰囲気や血筋としてはダートもこなせそうなタイプで、イルジオーネの21も母がダート1800m~2400mで活躍した経緯があることから、本馬もダートもこなせるタイプだと思います。スピード能力が高ければ芝、やや不足するのであればダート小回り4コーナー戦というイメージでしょうか。
馬体は現時点で雄大なものを持ちますが、当然ではありますが相当緩い印象です。後躯が数字の割には寂しく見え、ここがこれからの調教でしっかりしてくると楽しみな馬体になりそうです。トモの発達が遅れると、なかなか前に行けない、という難しさが発生しそうなので、先行力を発揮できるまでの成長を早期にできるかどうかがポイントになると思います。
募集馬概要 エメラインの21
- エメラインの21
- 父:ビッグアーサー
- 母:エメライン
- 母父:マンハッタンカフェ
- 母母父:Chester House
- 牝系:6代母にBest in Show Xaarと同系統
- 性別:牡馬
- 生年月日:2021年3月11日
- 母7歳時の産駒
- 所属予定:栗東 吉岡辰弥厩舎
- 21年リーディング:36位
- 主なジョッキー:坂井J・松山J
- 生産:バンブー牧場
- 募集総額:3,280万円
- 一口価格:82,000円
- 芝・ダート兼用タイプのスプリンター
- 素軽いスピード勝負より、少し重い馬場での勝負に強そう
母エメラインもバンブー牧場で生産された馬で、4戦して未勝利。本馬の上に2頭いて、全姉のイルザ(19年産)がダート短距離で未勝利戦を突破しています。6代母にBest in Showのいる牝系で、Best in Showからはトライマイベスト・El Gran Senorやアーモンドアイを輩出したロッタレースなどが出ています。前述の3頭はSex Appealの系統で、エメラインはそれとは異なる系統です。とはいえ、競走馬・種牡馬として大きな成果を残したXaar他、複数のG1馬を輩出しているMonroeの系統であり、魅力的な牝系出身と言えます。
預託予定の吉岡先生は2020年に開業し、21年にはリーディング36位を獲得。早期退職された角居先生のもとで調教助手を務められ、近年ではサートゥルナーリアを担当。ノルマンディーの所有馬だと、ゴールドパラディン(17年産・途中移籍)やキトゥンズマーチ(18年産)が吉岡厩舎所属で未勝利勝ち。特にゴールドパラディンは転厩後21戦して13戦で3着以内に入り、現在は準オープンで好走を続けています。そのほか、キングレガリア(19年産)は中央で未勝利突破できず、セヌドゥレーヴ(20年産)は新馬戦2着に入っています。キングレガリアは牡馬で2,960万円募集、セーヌドゥレーヴは牝馬で2,360万円募集で、いずれも平均より高価な期待馬を預託されており、ノルマンディーからの信頼が厚い厩舎だとみています。
父ビッグアーサーは3歳未勝利戦デビューで、そこで1着。1年休んで4歳から連戦連勝で準オープンを2勝。重賞未勝利で5歳で初めて挑んだ高松宮記念を勝利したスプリンターです。ビッグアーサーもバンブー牧場の生産です。サクラバクシンオーの後継種牡馬で、サンデーサイレンスの血を持たないこと、Nureyev≒Sadler’s Wellsの4×3を持つことが特徴です。
スプリンターかつNureyev≒Sadler’s Wellsを持ち、サンデーサイレンスの血を持たないということは、引き締まったタイプで、緩める要素を取り入れないとカチコチになってしまうのではないか、という印象もあります。
エメラインの21は母の父にマンハッタンカフェを持ちます。マンハッタンカフェはNorthern Dancerの血を持たず、サンデーサイレンスの血を持ちますから、前述のカチコチ要素を緩和する材料になります。競走馬としては長距離を得意としていますが、母系の前向きな気性から1400m前後をスタミナと気性でガッと言ってそのまま走り切ってしまう短距離要素も持っています。ビッグアーサー×マンハッタンカフェは緩めつつ方向性をぶらさない魅力を感じます。
母エメラインはマンハッタンカフェ×Blushing Groomのニックスを持ちつつ、Best in Showの牝馬クロスを持つという好配合馬という印象。Halo ≒ Boldnesian ≒ Red Godのニアリークロスが上記のニックスのポイントで、そこに加えてエメラインは母系にSir Ivorを持ちますからHalo ≒ Sir Ivorも発生。日本の芝適性を高めつつ、柔らかさも出しています。
ビッグアーサーとエメラインは好相性の組み合わせだと考えられます。軽い芝での純粋なスピード勝負だと、北米の高速血統に分がありそうで、やや渋った芝や洋芝の方が適性は高そうです。
募集総額は3,280万円で、維持費含めた回収目安となる獲得金は1億円あたりになりそうです。ノルマンディーとしては高価な馬ではありますが、預託厩舎も良く、配合的にも魅力が多い馬だと感じています。前も後も良い筋肉があるように見え、活躍が期待できそうな印象です。夏の北海道でデビューできると良さそうで、以降も夏の北海道のスプリント戦に期待ができそうです。
個人的に、出資馬初重賞となったクリダームの函館2歳Sで、勝ったと思ったところからビッグアーサー産駒のブトンドールに差し切れてしまったのが強く印象に残っていて、そのバイアスが発生しているなと思っています。方針的には高価な馬なので悩むものの、これ軸に予算を組むのもありだと思うほど、気になる1頭です。
募集馬概要 カネショウメロンの21
- カネショウメロンの21
- 父:ドゥラメンテ
- 母:カネショウメロン
- 母父:ディアブロ
- 母母父:コマンダーインチーフ
- 牝系:6代母にシンザンの母ハヤノボリ
- 性別:牡馬
- 生年月日:2021年4月18日
- 母17歳時の産駒
- 所属予定:栗東 辻野泰之厩舎
- 21年リーディング:105位(勝ち星100位タイ)
- 主なジョッキー:岩田望J・西村J
- 生産:下屋敷牧場
- 募集総額:3,520万円
- 一口価格:88,000円
- 芝中距離タイプで、ダートも走れるのではないか
- 理想は同じくノルマンディー・辻野厩舎のディナースタか
母カネショウメロンは南関東競馬・大井競馬場でデビューし、最初の4戦を4連勝で飾ります。以降は勝ち星に恵まれなかったものの、5歳4月までに36戦するタフさを見せました。17歳で、デビューした産駒は5頭おり、うち16年産のポットギルが地方重賞勝ちを収めています。中央勝ちは1頭ですが、地方では前述のポットギルやポットクレイジー(15年産)が勝つ安くしています。
6代母にシンザンの母であるハヤノボリがいます。いわゆる小岩井牝系で、ビューチフルドリーマーから続く在来の名牝系です。近年でもこの牝系から活躍馬は出ていますが、広がりに広がっており、元をたどれば話という印象です。
預託予定の辻野先生は2021年に開業したばかりです。吉岡先生と同じく角居先生の下で調教助手を務められ、ウオッカなどを担当。開業時にキセキやロータスランドを受け継ぎ、特にロータスランドでは受け継いでから3連勝でリステッド勝ち。重賞2勝、高松宮記念2着に育て上げています。22年には美浦の高橋厩舎の引退・解散に伴いカラテを受け継ぎ、菅原Jとのコンビを継続して新潟記念を勝利しています。
ノルマンディーの生産馬は開業初年度に預託されたディナースタ(19年産)が札幌2600m戦を2連勝。菊花賞に挑戦する権利を獲得するなど、新馬からの育成でも成果を残されています。
父ドゥラメンテについてか以下の記事をご参照いただけますと幸いです。
ドゥラメンテ産駒はMr.Prospectorのクロス+Nasrullah+Princequilloの血が入るタイプが良いのではないか、かつ欧州的なスタミナ血統を取り入れたほうが良いのではないか、と私は考えています。
その観点でいくと、Mr.Prospectorのクロスは未発生、Princequilloの血は薄めなので、私の狙い目からはそれるイメージです。ただ、英ダービー馬のコマンダーインチーフの血が入るので、欧州的なスタミナやタフさは持っていそうです。
Haloのクロスが入る馬で言えばアリーヴォ、ダンシングブレーヴが入る馬で言えばバーデンヴァイラー、Robertoが入る馬で言えばヴァリアメンテがいます。共通項を持つ活躍馬はおり、出てくる要素がかみ合うとクラシック路線での活躍が見られそうです。
馬体は胴が長く見え、距離は持ちそうな印象を受けます。路線的には中長距離になってきそうな感じがします。気性と馬体の成長が良いタイミングで訪れれば、3歳からの活躍が見られそうです。Haloの気性の難しさに加え、Wild Riskや北米の前向きな気性の血が結構入っていますから、それらが落ち着き、気性と後躯の成長がかみ合うかがポイントになりそうです。
まとめ
まず最初の1から3までまとめてみました。いずれも見どころがある馬ですし、書いていくうちに長くなってしまったので3頭まとめにさせていただきました。
ご参考になりましたら幸いです。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。