種牡馬‐サトノダイヤモンドとリアルスティールの比較
今年、2022年に産駒がデビューする新種牡馬のうち、ディープインパクト後継として期待が集まっているのが、サトノダイヤモンドとリアルスティールです。今回はその比較を実施したいと思います。
本比較は、一口馬主Youtuberのジェイさんとのコラボがきっかけです。
ぜひ、ジェイさんのYouTube動画もご視聴ください。
【新種牡馬】サトノダイヤモンドvsリアルスティール!!種牡馬として活躍するのは??
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2頭の情報整理
現役時代の戦績では、サトノダイヤモンドに軍配があがります。とはいえ、リアルスティールは同期にドゥラメンテ・キタサンブラックがおり、相当厳しい争いを強いられたのは間違いありません。
この2頭の詳細な解説については、別途記事にまとめてありますので、そちらをご参照ください。
ざっくりまとめると以下の通りになります。
- 活躍のポイント
- 両親ともに競走能力が高く、かつ母マルペンサの繁殖能力も高い
- Haloのクロスが強く、加速力と機動力に富んでいる
- Danzig系短距離馬のOrpenを母父に持ち、早熟性とスピードを受け継いだ。そのOrpenはアルゼンチンのリーディングBMSで優秀
- 種牡馬としてのポイント
- Haloの強いクロスで成功したほぼ唯一のディープ後継である
- ディープ用繁殖を相手にしやすい(Storm Cat系・Unbridled’s Song系)
- Coup de Folie ≒ Bonita Farncitaの3/4同血クロスに妙味がある
- Haloの強いクロスで成功したほぼ唯一のディープ後継である
- 活躍のポイント
- 母ラヴズオンリーミーが名牝系かつ繁殖能力が極めて高い。
- Alzao≒Storm Catによる柔らかいスピードを持つ
- 名牝Miesque由来の底力を持つ
- 種牡馬としてのポイント
- 隙のない名血揃いでアベレージが高そう
- 名種牡馬Kingmamboの全妹Monevassiaなど妙味のあるクロスがある
- Haloのクロスやニアリークロスでスピードを入れると期待値が高まりそう
- Storm Catの母方を活性化させると期待値が高そう
- 隙のない名血揃いでアベレージが高そう
こうして並べると、サトノダイヤモンドはリアルスティールが持っている要素を取り入れると成功しそうで、リアルスティールはサトノダイヤモンドが持っている要素を取り入れると成功しそうですね。
マルペンサは亡くなってしまっているので起こり得ませんが、互いの母を相手にすると、サトノダイヤモンドはStorm CatとKingmambo(全妹のMonevassiaですが)が入り、ディープインパクトのニックスを取り入れることができますし、リアルスティールはHaloの血を取り入れることで、より軽い芝への適性が高まりそうな印象を受けます。
2頭が奪い合いそうなのはBold Ruler系(A.P.Indy系)種牡馬やRoberto系(特にシンボリクリスエス)あたりでしょうか。それ以外はすみわけができそうな印象を持ちます。こうした要素もあって、私はどちらも種牡馬として成功するのではないかと考えています。すでに種牡馬として成功しているキズナがディープインパクト×Storm Catな分、リアルスティールのほうが不利な印象です。
2頭の比較
サトノダイヤモンドは2000m以上、特に2400m以上の距離で戦績が良く、ディープインパクト後継の種牡馬として距離の融通が利きやすいタイプだと考えられます。牡馬のG1レースは2000m以上のほうが充実していますし、そこで活躍するためにはスタミナも必要です。サトノダイヤモンドはそこへの適性があり、かつHaloクロスによって軽い芝への適性が高まっていますから、芝の王道路線で大物を出す可能性は高いのではないかと考えました。
リアルスティールはStorm Catを母父に持つ競走馬らしく、筋肉質でマイルから短めの中距離への適性が高い馬です。種牡馬としてもその筋肉を産駒に伝えていくのではないかと考えています。そうしたとき、距離の適性はマイルに寄っていくでしょう。3/4同血のキズナもダート適性を持っているように、リアルスティールもダート適性を持っていると考えられ、2.3歳戦に多いマイルから短め中距離への適性が高く、ダートもこなせるとなると勝ち上がり率に期待ができます。リアルスティールの母ラブズオンリーユーの産駒はどの馬もかなり走っており、かつアベレージと長打力があることから、勝ち上がるだけでなく、2勝、3勝としていく可能性が高いのではないかと考えられます。
サトノダイヤモンドの母父OrpenはBonita Francitaの仔。Bonita Francitaは半姉にCoup de Folieがいますが、Coup de Folieの血を持つ馬にはMachiavellian・バゴなどがいます。Machiavellianの血を持つ馬では、ヴィルシーナ・シュヴァルグラン・ヴィブロスの3きょうだい、アドマイヤマーズ、ディアドラなどがおり、日本の大舞台で活躍するために重要な血です。加えてBonita FrancitaはDevil’s Bagの産駒。Devil’s Bagの全姉はGlorious Songがいます。Glorious Songは日本適性が高い血で、この血を持つ活躍馬は多数います。
サトノダイヤモンドの持つBonita Francitaで発生する全きょうだいクロス・ニアリークロスは共に芝の王道路線での活躍を促進する要素であり、大物を出す可能性が高いと考えられるのも、そこに所以があります。
リアルスティールの祖母Monevassiaは名種牡馬Kingmamboの全妹です。リアルスティールの血統表の中でも、パワーや底力はMonevassia由来のものが多いでしょう。MonevassiaはMr.Prospector×NureyevでNashua≒Nantallahで北米的なTeddy系の力強さを促進しつつ、Hyperionの血を取り入れています。ここがパワーと底力の源泉と考えたとき、Monevassiaを刺激するというのは、パワーと底力を促進するとみていいでしょう。キングカメハメハとの全きょうだいクロスや、Nureyevのクロス、Nureyev≒Sadler’s Wellsのクロスが発生すると、Monevassia要素が促進されます。
Roberto系を入れてNashua+Nantallahの促進のパターンもあるでしょう。これらが入るとダート適性が高まったり、他の馬が力を発揮できない重い馬場やタフなレースで結果を残せるのではないでしょうか。Mr.Prospector・Nureyev・RobertoによるNashua≒Nantallah強化によるTeddyの刺激はダートや中山などの急坂コースをこなせる力強さにつながります。
こうした要素から、リアルスティールは芝・ダート兼用となる可能性が高く、かつ、他の馬が力を発揮しにくいタフな馬場での活躍が見込め、未勝利突破や1,2勝クラス勝ち上がりが期待しやすいため、アベレージが高いのではないかと考えています。
2頭ともに妙味のある全きょうだいクロス・ニアリークロスを持つ
一方でその方向性は逆で、
サトノダイヤモンドは軽い芝
リアルスティールは力強さと推測
それぞれに活路が存在している
まとめ
どちらも種牡馬として成功しそうですが、適性の方向性は異なるのではないか、と私は考えています。それは比較をしてみてよくわかりましたし、それぞれ魅力があります。
クラシック路線や芝路線での大きな成果を残す馬を狙いたいのであれば、サトノダイヤモンド
勝ち上がり2勝,3勝と堅実に走り続けて楽しめる馬を狙いたいのであれば、リアルスティール
私は今のところこのように考えています。リアルスティールにローカル小回りの適性があれば、アベレージはさらに高め安定となりそうです。現役時代の走り的には、リアルスティールは大箱・サトノダイヤモンドは小回りという印象があり、そこはどう出るかというところでしょうか。
なかなかとっちだ、がはっきりしない結論ではありますが、サトノダイヤモンド・リアルスティール両頭の活躍を祈っています。
期待馬は以下
リアルスティール
牡馬:オールマイデイズ(ロザリンドの20)
牝馬:ベルスリーブの20
サトノダイヤモンドは
牡馬:エリドゥバビロンの2020
牝馬:アズライトムーン(アズールムーンの20)