シルクHC 22年度募集馬分析 ツルマルワンピースの21
平素よりお世話になっております。(自称)血統研究家の玄野源です。
2022年7月19日、シルクホースクラブの2022年度1次募集が開始されました。今回は、募集馬の中から出資推奨馬として、ツルマルワンピースの21について分析しようと思います。参考にしていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
本分析は募集馬の活躍を保証するものではございません。出資などの最終のご判断はご自身にて実施をお願いいたします。
また、馬券的な分析をするものではなく、一口馬主として出資をするうえでの分析ですので、馬券を検討する際の情報としては有効なものではありません。ご了承くださいますようお願いいたします。
募集馬情報
- ツルマルワンピースの21
- 父:モーリス
- 母:ツルマルワンピース
- 母父:キングカメハメハ
- 性別:牡馬
- 生年月日:2021年03月10日
- 所属予定:美浦 大竹正博厩舎
- 生産牧場:ノーザンファーム
- 募集総額:6,000万円
- 一口価格:120,000円
父モーリスについて
競走実績
通算成績18戦11勝(JPN芝1400-2000m・HKG芝1600-2000m)。15年JRA賞年度代表馬(最優秀短距離馬)、16年JRA賞特別賞受賞。2歳10月の新馬戦を2歳コースレコードで勝利。3歳春は中々勝ちきれず、背腰の弱さから秋全休でシーズンを終える。転厩を経て4歳春に戦線復帰すると、2連勝でOPクラスに昇格し、G3-ダービー卿チャレンジトロフィーをレースレコードで完勝。勢いそのまま、G1-安田記念、G1-マイルチャンピオンシップを連勝し、春秋マイル王者に輝く。更にその勢いは国内に留まらず、暮れのG1-香港マイル(HKG)、翌春のG1-香港チャンピオンズマイル(HKG)を制し、破竹のG1競走4連勝を達成した。5歳秋には中距離に路線変更。G1-天皇賞・秋、G1-香港C(HKG)を連勝し、日本・香港の二ヶ国で、マイル・中距離の二階級制覇を果たした。
血統・配合
スクリーンヒーローの初年度産駒。4代母メジロボサツから連なる牝系で、近親にメジロドーベル(Jpn1-優駿牝馬など重賞7勝)など。2代母メジロモントレーはG2-AJCCなど重賞4勝。
配合のポイントとしては、スクリーンヒーロー×Sadler’s Wells×Never Bendが挙げられる。この配合はピースオブエイト・ミュゼエイリアンなどと共通し、La Troienneの多重クロスによって馬力・底力が増幅される。
Roberto×Sadler’s Wellsで中距離×中距離×中距離というアウトラインからは、有馬記念を力任せに捲る競馬が想像されるが、実際には東京・京都の高速マイル戦で大成した。ギアチェンジ時の瞬間的加速度や前捌きの軽快なピッチ走法は、実にTom Fool的、実にモデルスポート(Tom Foo≒Spring Run2×3)的であり、このスピードが顕在したと考えるのが自然なのだろう。血統表の字面だけでは理解しきれない、実馬の走りと血統表を擦り合わせて初めて理解が深まる、『なのに』の名馬の典型と言える。
種牡馬実績・世代評価
17年より社台スタリオンステーションにて供用開始。同年よりシャトル種牡馬としてアローフィールドスタッド(AUS)で供用開始。 21年産駒は4世代目にあたり、当時の種付料は400万円。一般的に、3・4世代目の産駒は初年度産駒デビュー前に種付を行うため、それ以前と比較して繁殖の質・量を落とす傾向にある。ただしモーリスに関しては、育成段階での評価が異常に高かったことから、ノーザンファームを中心に繁殖の質は寧ろ上がっており、要注目の世代となっている。
代表産駒
Hitotsu(AUS) 18年産 母Love Is Fickle (by Redoute’s Choice)
主な戦績 G1-ATCオーストラリアンダービー(AUS)など重賞3勝
Mazu(AUS) 18年産 母Chatelaine (by Flying Spur)
主な戦績 G1-ドゥームベン10,000(AUS)など重賞2勝
ピクシーナイト 18年産 母ピクシーホロウ (by キングヘイロー)
主な戦績 G1-スプリンターズSなど重賞2勝
ジャックドール 18年産 母ラヴァリーノ (by Unbridled’s Song)
主な戦績 G2-金鯱賞
シゲルピンクルビー 18年産 母ムーンライトベイ (by High Chaparral)
主な戦績 G2-フィリーズレビュー
母ツルマルワンピースについて
競走実績
通算成績21戦3勝(芝1400m・ダート1400m)。2歳9月の未勝利戦で勝ち上がり。続く500万下-りんどう賞では、不良馬場を味方に2馬身差完勝。暮れのG1-阪神JFでも0.4秒差5着と健闘した。5歳時にはダートに活路を見出し、500万下を勝利。現役時484-518㎏の恵まれた馬体を武器に、短距離路線で活躍した。
血統・配合
キングカメハメハの3世代目産駒。母ツルマルグラマーは中央1勝、G3-ファンタジーS2着。 二代父Kingmambo・父母マンファス・二代母エラティスはNorthern Dancerを内包し、母父フジキセキはNorthern Dancerを全く引かない「3/4同系・1/4異系」の好形。トライマイベスト=El Gran Senor(Northern Dancer・Sex Appeal)の全きょうだいクロスはアーモンドアイ(トライマイベスト≒ロッタレース)と相似。競走実績は遠く及ばないものの、繁殖能力としては同等クラスの活躍が期待できる。
繁殖実績
15年 ブラストワンピース (by ハービンジャー) G1-有馬記念など中央7勝(引退)
16年 ヴィクトリアピース (by ヴィクトワールピサ) 中央1勝(引退)
17年 ホウオウピースフル (by オルフェーヴル) OP-巴賞など中央3勝
18年 不受胎 (by キズナ)
19年 サンドレス (by ハービンジャー) 中央未勝利
20年 ブラストウェーブ (by ハービンジャー) 中央1勝
出走産駒勝馬率80.0%(4/5)。21年産駒は母13歳時の6番仔。
本馬ツルマルワンピースの21について
ニックス
モーリス×キングカメハメハは勝馬率52.2%(12/23)、平均本賞金額894万円。これを牡馬(セン馬含む)に限定すると、勝馬率76.9%(10/13)、平均本賞金額1,456万円に上昇。モーリス産駒牡馬(セン馬含む)全体の勝馬率48.3%(71/147)、平均本賞金額1,356万円を上回るため、ニックス判定が出来る。
一見単純な配合ながら、Roberto×Mr.Prospector×NureyevのNashua≒Nantallah(Nasrullah・Sir Gallahad・Flambette)をはじめ、Ameriflora≒Kingmambo(Raise a Native・Northern Dancer・Fair Trial・Graustark=His Majesty)、Amerigo≒Hornbeam(Nearco・Hyperion・Point Duty)、Sadler’s Wells≒Nureyev(Northern Dancer・Special)など、要所要所に趣向の凝らされたニアリークロスが点在。今のところ重賞馬は出ていないが、該当馬の中には新馬戦を圧勝したノッキングポイントなど大物感漂う素質馬が控えており、重賞制覇は時間の問題だろう。バレないうちに早めに唾を付けておきたい要注目の配合だ。
アウトライン・総評
両親は共にTom Fool×La Troienneを主体としながらサンデーサイレンスをスピード補完的に内包しており、サンデーサイレンス4×4に加えて数々のニアリークロスが鏤められた、高度な父母相似配合となった。Nasrullah×Hyperion方面に振り切った半兄ブラストワンピースと比較すると、大箱での最高速度は劣るものの、基礎スピードの高さや機動力の面ではこちらに分があるように見える。
父母共に優れた馬格を強く遺伝するタイプであり、3月10日生と決して早生まれではないものの、測尺(7月上旬)時点で馬体重526㎏。兄姉も500㎏を超える大型馬ばかりなのだが、それはあくまでデビュー以降の話であり、その同時期と比べると異次元の数値を叩き出している(下表参照)。同時に体高168.0㎝というのも過去に類を見ない数値であり、既に父モーリス(現在体高169.0㎝)とほぼ並ぶと言えば、その発育の良さが伝わるだろうか。比較対象の無い立ち写真では、526㎏もあるように見せないスッキリとした脚長の好馬体で、シンプルに全体のフレームが規格外にデカいことが分かる。実馬の動きも数字に反して重苦しさを感じさせず、キタサンブラックを彷彿とさせるようなスケールの大きさを感じる。なお、筋肉のメリハリに関してはまだ不十分で、良くも悪くも成長の余地を残しているようだ。
クラブ募集ツルマルワンピース産駒 | 生月日 | 体高 | 胸囲 | 管囲 | 馬体重 |
15年産 ブラストワンピース | 04/02 | 157.0 | 179.0 | 20.8 | 451 |
16年産 ヴィクトリアピース | 03/27 | 156.0 | 174.5 | 20.5 | 462 |
19年産 サンドレス | 03/07 | 164.0 | 179.5 | 20.6 | 482 |
20年産 ブラストウェーブ | 03/15 | 158.0 | 179.5 | 21.1 | 504 |
21年産 本馬 | 03/10 | 168.0 | 183.5 | 21.3 | 526 |
預託予定の大竹師は美浦の中堅。シルクHCとの相性は決して良いとは言えないが、兄姉で結果を出しているので不安はない。半兄ブラストワンピースをはじめ、ルージュバック・ザダル・ソーヴァリアントなど、3歳秋以降に本領発揮(逆に言えばクラシックは苦手)という厩舎カラーも本馬に合致するように思える。
一口馬主DBによると、デビュー時予測馬体重は570㎏前後。基本的には馬体重が重いほど仕上がりが遅くなる傾向が強く、本馬に関してもクラシックにはまず間に合わないと考えておいた方が精神衛生上よいだろう。時間をかけて成長を促し、父と同じ成長曲線で秋古馬三冠制覇。最終的には種牡馬入りまで見越した活躍に期待できる。
まとめ
以上がツルマルワンピースの21についての分析となります。最後まで読んでいただきありがとうございました。